《クローズ・アップ》池辺 和弘(電気事業連合会会長)
「首都圏撤退」無責任な田舎者
2022年7月号
「またか」と、エネルギー関係者からは落胆の声が上がる。九州電力が六月、東京ガスと進めていた千葉県袖ケ浦市のLNG(液化天然ガス)火力発電所の建設から撤退を決めたからだ。
首都圏の多くの火力新設計画が相次ぎ中止された中で、袖ケ浦LNG火力は事実上最後の新設電源。期待は大きい。が、地元の反対は強く、計画通り二〇二八年の運転開始は困難であり、九電は「脱炭素に鑑みて投資回収できない」と判断した。今年の首都圏は夏冬場の停電危機が叫ばれ、長期的にも供給力不足の解消が焦眉の急であるにもかかわらず、である。
「しょせん九州の大名企業。電事連会長は荷が重いということだ」
九電社長・池辺和弘は、奇しくも二期目の電気事業連合会会長体制を始動させたばかり。全国規模の需給対策に心を砕く立場にありながら、独り撤退することへの違和感が周辺では囁かれる。が、そんなことは耳に入らないだろう。
九電の発電・販売部門は昨年度五十九億円の経常赤字だった。燃料費と卸電力価格の高騰が響き、二期連続の赤字は拡大した。とりわけ首都圏は電力自由化に合わせて進出したものの、実績が上がっていな・・・
首都圏の多くの火力新設計画が相次ぎ中止された中で、袖ケ浦LNG火力は事実上最後の新設電源。期待は大きい。が、地元の反対は強く、計画通り二〇二八年の運転開始は困難であり、九電は「脱炭素に鑑みて投資回収できない」と判断した。今年の首都圏は夏冬場の停電危機が叫ばれ、長期的にも供給力不足の解消が焦眉の急であるにもかかわらず、である。
「しょせん九州の大名企業。電事連会長は荷が重いということだ」
九電社長・池辺和弘は、奇しくも二期目の電気事業連合会会長体制を始動させたばかり。全国規模の需給対策に心を砕く立場にありながら、独り撤退することへの違和感が周辺では囁かれる。が、そんなことは耳に入らないだろう。
九電の発電・販売部門は昨年度五十九億円の経常赤字だった。燃料費と卸電力価格の高騰が響き、二期連続の赤字は拡大した。とりわけ首都圏は電力自由化に合わせて進出したものの、実績が上がっていな・・・