岸田政権が「日銀ETF奪取」を画策
「資産所得倍増」で無理筋の裏技
2022年7月号
岸田文雄政権は六月七日、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる、「骨太の方針」を発表した。首相が力を込める「新しい資本主義」を実現するための重点投資分野のひとつとして盛り込んだ「資産所得倍増プラン」である「家計金融資産二千兆円」を掲げた。その舞台裏で奇妙な事態がうごめいている。多大な含み益が生じている日銀の「お宝資産」を政府が奪い取って、資産所得倍増プランに活用するという驚きの目論見である。こんなこと、ありなのか。
主役は日銀保有のETF(上場投資信託)である。ある金融関係者は次のように説明する。「アベノミクスの一環として、日銀が買い上げ続けたETFは莫大な規模に達し、多大な含み益が生じている。これを国民の家計資産形成に結び付けて資産所得向上につなげるということだ」
証券業界の奇策に食いつく官邸
日銀がマーケットからのETF買い上げを開始したのは、白川方明総裁時代の二〇一〇年十二月である。残高の上限を四千五百億円とする限界的な施策だったが、アベノミクスの旗手、黒田東彦総裁の下で規模は大きく・・・
主役は日銀保有のETF(上場投資信託)である。ある金融関係者は次のように説明する。「アベノミクスの一環として、日銀が買い上げ続けたETFは莫大な規模に達し、多大な含み益が生じている。これを国民の家計資産形成に結び付けて資産所得向上につなげるということだ」
証券業界の奇策に食いつく官邸
日銀がマーケットからのETF買い上げを開始したのは、白川方明総裁時代の二〇一〇年十二月である。残高の上限を四千五百億円とする限界的な施策だったが、アベノミクスの旗手、黒田東彦総裁の下で規模は大きく・・・