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プーチン後継争う「三人の女」

クレムリン「愛憎劇」の先行き

2022年7月号

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、自身の後継問題に道筋を探り始めた。カギを握る存在として浮上しているのが、三人の女性だ。三人とも三十代後半で年齢が近く、大統領自身が絶対的な盾となって保護してきた。
 ロシアの最高権力を巡る動きは、三世紀前のロマノフ王朝の宮廷さながらである。

五輪金メダリストの猛アピール

 三人の中で最初に動いたのは、新体操のアテネ五輪金メダリスト、アリーナ・カバエワだ。五月で三十九歳になったカバエワは、十年以上前から「プーチンの愛人」として、クレムリンの権力構造の中で特別な地位を占めてきた。二〇〇九年以降、双子を含め計四人(数には異説あり)、プーチンの子供を出産したとされる。
 過去十年以上は「影の女」だったが、昨年末にモスクワで、自らが主宰する「天恵(ネベスナヤ・グラツィヤ)」という新体操競技会に臨んだ。在モスクワの欧州外交筋は、「彼女と親しい人たちから、『やせたね』『きれいになった』という声を聞いた。表舞台に戻る前に、かなりシェイプアップしたようだ」と言う。{・・・