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経済

東芝は誰に喰われるのか

外資勢の狼藉に経産省の「傍観」

2022年6月号

 東芝の内紛がどうにも止まらない。いや、正確に言うと「内紛」ではなく「外紛」か。揉めているのが、東芝に関する知識がほとんどない社外取締役連中だからだ。
「ふざけるなと言い飽きて、もう表現する言葉が見当たらない」。取締役会の様子をうかがい知る東芝幹部が憤怒の矛先を向けるのが、社外取締役で指名委員会委員長を務めるレイモンド・ゼイジと、同じく社外取締役で指名委員のポール・ブロフだ。
 特にゼイジは直近で物議を醸したばかり。東芝が三月に開いた臨時株主総会で、株式の非公開化を求める株主提案に取締役会決議のもと会社として反対したにもかかわらず、個人株主としてツイッターで「賛成」を表明し顰蹙を買った。
 五月下旬、東芝の取締役会は紛糾していた。「こんなのは認められない」。ある日本人の社外取締役が激怒したのは、六月の定時株主総会で審議する取締役候補者の選定だ。
 本来、候補者はとっくに決定され、公表されているはずだった。しかしその公表は何度も延期され、もはや株主総会の招集通知の印刷、発送のロジを考慮するとあと一~二日で決めなければいけないという瀬戸際まで来ていた・・・