無力集団「サイバー警察局」の悲哀
国際犯罪者検挙は夢のまた夢
2022年6月号
この春に施行された改正警察法の目玉は、警察庁に「サイバー警察局」を新設することだった。サイバー犯罪対策を強化するために設置された組織で、日本におけるサイバー攻撃捜査の大きな転換点になると期待されている。
日本では、国家が逮捕権など捜査権限を持つのは危険であるという戦前の教訓から、犯罪捜査は都道府県の警察が担ってきた。だが、昨今急増している深刻なサイバー犯罪は国外からの場合が多く、国家的な対応が不可欠になってきたことから、サイバー犯罪事案を中心に戦後初めて国家に事件捜査の権限を与えることになった。
警察庁によると、昨年のサイバー犯罪の検挙数は一万二千二百七十五件で前年から二四%以上も増加した。ただ、重大なサイバー攻撃に対して、これまでの捜査体制では全く歯が立たなかった。あるサイバーセキュリティ企業幹部は、「ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃など深刻なサイバー犯罪は国外から来るものがほとんど。だがこれまで、そうした国外にいる攻撃者らを検挙できた例はほぼなく、警察の発表する検挙数では実態を測れない」と指摘する。
そのために、政府は警察法を改正して・・・
日本では、国家が逮捕権など捜査権限を持つのは危険であるという戦前の教訓から、犯罪捜査は都道府県の警察が担ってきた。だが、昨今急増している深刻なサイバー犯罪は国外からの場合が多く、国家的な対応が不可欠になってきたことから、サイバー犯罪事案を中心に戦後初めて国家に事件捜査の権限を与えることになった。
警察庁によると、昨年のサイバー犯罪の検挙数は一万二千二百七十五件で前年から二四%以上も増加した。ただ、重大なサイバー攻撃に対して、これまでの捜査体制では全く歯が立たなかった。あるサイバーセキュリティ企業幹部は、「ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃など深刻なサイバー犯罪は国外から来るものがほとんど。だがこれまで、そうした国外にいる攻撃者らを検挙できた例はほぼなく、警察の発表する検挙数では実態を測れない」と指摘する。
そのために、政府は警察法を改正して・・・