新薬後進国「ドラッグ・ラグ」が再燃
最新抗がん剤が使えない日本
2022年6月号
世界で実用化されている新薬が日本で使えないドラッグ・ラグが再燃している。特に深刻なのは抗がん剤だ。劇的な効果の可能性があるのに、高額の自己負担をしなければ国内では使えない薬がある。そこからは日本の薬事行政によって、海外の製薬企業にとって日本市場の魅力が薄れ、国内勢も日本離れしていく姿が浮かび上がる。日本国民の健康と命にとって、重大な事態が進行している。
日本製薬工業協会(製薬協)の調査によると、二〇二〇年末現在、直近五年間に欧米で承認された新薬の七二%が我が国で未承認だった。一四年から一六年にかけて、未承認薬の割合は六五%から五六%まで改善していたが、一六年以降、悪化を続けている。この間、世界の新薬開発は加速しているから、日本で使えない新薬の絶対数は一六年末の百十七品目から、二〇年末には百七十六品目と一・五倍に増加した。
抗がん剤のドラッグ・ラグについては二〇年十月、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の藤原康弘理事長が、官邸で開かれた第一回医薬品開発協議会で分析結果を発表した。この報告によれば、一六年七月末現在、欧米で承認されているが、日本では未承・・・
日本製薬工業協会(製薬協)の調査によると、二〇二〇年末現在、直近五年間に欧米で承認された新薬の七二%が我が国で未承認だった。一四年から一六年にかけて、未承認薬の割合は六五%から五六%まで改善していたが、一六年以降、悪化を続けている。この間、世界の新薬開発は加速しているから、日本で使えない新薬の絶対数は一六年末の百十七品目から、二〇年末には百七十六品目と一・五倍に増加した。
抗がん剤のドラッグ・ラグについては二〇年十月、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の藤原康弘理事長が、官邸で開かれた第一回医薬品開発協議会で分析結果を発表した。この報告によれば、一六年七月末現在、欧米で承認されているが、日本では未承・・・