米株式相場「クラッシュ」の行方
日本への「津波」に要注意
2022年6月号
「景気後退は避けられないわけではないが、可能性は高くなっている。避けられないのはスタグフレーション(インフレ+成長がほぼない状態)だ」
著名エコノミストのモハメド・エラリアン氏は五月、こう述べた。ダウ平均は五月二十日、九〇年ぶりの「八週続落」という異常を記録した。単なる景気後退懸念と異なり、「スタグフレーション懸念」があるからだ。
ウクライナ危機後の情勢を踏まえてバイデン政権は三月末、石油の戦略備蓄放出を決定した。その後、原油価格は落ち着きを見せたが、米国ではディーゼルの全国平均価格が急騰し、現在は一ガロン当たり五・五四ドル(五月二十六日現在)となっている。ディーゼルはガソリンより高騰している。ここに今起こりつつあるスタグフレーションの問題が隠されている。
レギュラーガソリンとディーゼルの価格のうち原油コストの割合は、それぞれ五九%、四九%だ。ディーゼルは精製コストが高い。ボトルネックは原油よりも、「精製」にある。
二〇一〇年代後半の油価低迷の後、二〇年四月にOPECショックによって原油先物価格がマイナスにまで落ち、コロナパンデミック下の・・・
著名エコノミストのモハメド・エラリアン氏は五月、こう述べた。ダウ平均は五月二十日、九〇年ぶりの「八週続落」という異常を記録した。単なる景気後退懸念と異なり、「スタグフレーション懸念」があるからだ。
ウクライナ危機後の情勢を踏まえてバイデン政権は三月末、石油の戦略備蓄放出を決定した。その後、原油価格は落ち着きを見せたが、米国ではディーゼルの全国平均価格が急騰し、現在は一ガロン当たり五・五四ドル(五月二十六日現在)となっている。ディーゼルはガソリンより高騰している。ここに今起こりつつあるスタグフレーションの問題が隠されている。
レギュラーガソリンとディーゼルの価格のうち原油コストの割合は、それぞれ五九%、四九%だ。ディーゼルは精製コストが高い。ボトルネックは原油よりも、「精製」にある。
二〇一〇年代後半の油価低迷の後、二〇年四月にOPECショックによって原油先物価格がマイナスにまで落ち、コロナパンデミック下の・・・