―ロシアのウクライナ侵攻は世界の貿易にどんな影響を与えますか。

　石川　ロシアが世界の貿易に占める比率は小さいものだ。二〇二〇年に輸出で一・九％、輸入は一・三％に過ぎない。世界貿易機関（ＷＴＯ）に一二年に加盟しているが、存在感は希薄だ。アジアの自由貿易の枠組みである「東アジア地域包括的経済連携（ＲＣＥＰ）」や「環太平洋パートナーシップ協定（ＣＰＴＰＰ）」にも参加していない。ロシアがグローバルな自由貿易体制から取り除かれても影響は小さいと考えていい。

　―原油、天然ガス、小麦などの輸出が止まる影響は深刻です。

　石川　確かに欧州連合（ＥＵ）は原油の二五％、天然ガスの四〇％をロシアに依存しており、日本も輸入石炭の一一％はロシア産だ。小麦など食糧の輸出量も大きい。ＥＵや日本にとって代替輸入先確保はもちろん大きな課題だが、本当に深刻なのは主食穀物を依存する北アフリカや南西アジアの国で、食糧危機を懸念すべきだ。

　―世界が米・・・