《日本のサンクチュアリ》全国石油協会
ガソリン補助金の「バラマキ窓口」
2022年5月号
ロシアのウクライナ侵攻で一段高となったガソリンなど燃料油価格を抑えようと岸田文雄政権と経済産業省が始めた一リットルあたり最大二十五円、総額四千四百七十二億円の空前の補助金バラマキ。その実行部隊が「全国石油協会」という一般社団法人であることはほとんど知られていない。ガソリンスタンド業者の支援機関として生まれた同協会は老朽地下タンクの交換から災害対策の自家発電設備、配達用タンクローリーまで購入費用に補助金を気前よく与える税金の分配機関である。それは自由民主党にとってもはや数少ない集票マシンとなった石油小売業界の“生命維持装置”に化している。
石油ビジネスの構造はいささか複雑だ。道路沿いのスタンドの多くに掲げられた「ENEOS」や「出光」「コスモ」といった看板は石油元売り会社のブランドだが、ガソリンなどを販売するスタンドは元売りとは資本関係すらない独立した小売り事業者が大半。元売りは原油を輸入し、自社製油所で精製したガソリンなど燃料油をスタンド業者に卸売りする。大手元売りはスタンド事業者にブラン・・・