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経済

総合証券会社「分割政策」の衝撃

「業界正常化」で金融庁の劇薬

2022年5月号

 日本国内の個人金融資産は二千兆円を超えたという。だが、欧米諸国に比べると、その規模はきわめて小さいし、過半は預貯金にとどまっている。一九九七年当時の橋本龍太郎政権が打ち出した証券市場改革「日本版ビッグバン」で初めて提唱された「貯蓄から投資へ」という個人マネーのシフトは、約二十五年がたっても遅々として進まない。資本市場は明らかな行き詰まりを来している。そうした中で、金融庁が証券業界に激震が走る改革の構えをみせている。
 金融庁には、証券業界に対する不満が鬱積し続けている。業者行政から市場政策型行政への転換を果たした金融庁は近年、「顧客本位の業務運営」を提唱し、まっとうな商売への尻を叩き続けているものの、業界は「笛吹けど踊らず」だ。儲け第一主義のままで、個人投資家に仕組債などの劣悪な証券商品を売りさばいている。
「仕組債などが拡散されている限り、貯蓄から投資、資産形成への流れがきちんと定着するわけはない」。ある金融庁幹部は怒気を含んだ言葉を吐き捨てる。しかも、仕組債などは実質的な販売手数料もひた隠しにしてきた。それを問題視した金融庁に対して、証券業界が「大きな改善」と・・・