三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《地方金融の研究》四国銀行

謎多き「大和証券」との提携

2022年5月号

「詰まるところ、大手証券のリストラに利用されているだけではないのか」。地銀関係者の一部からはこんな指摘も上がる。
 証券関連分野で大和証券グループ本社傘下の大和証券と、包括業務提携に踏み切った高知県地盤の四国銀行。同行の預かり資産営業と大和証券高知支店のリテール機能を、二〇二三年四月をメドに統合する。大和証券は統合完了後、高知支店を閉鎖する方針だ。大和にとって地銀との証券統合は初めてとなる。
 四国銀は昨年九月下旬に大和との間で包括提携に基本合意。具体的な内容について協議・検討を進め、今年三月下旬、最終合意にこぎつけた。
 提携の柱は二つだ。まず一つ目が顧客の証券口座の統合。四国銀の公共債や投資信託などの口座を吸収分割で切り離して大和に移管。大和の高知支店の証券口座と合わせて大和が一括管理する。
 二つ目が大和から四国銀への金融商品仲介業務の委託だ。このため四国銀は、コンサルティング部門に受け皿となる専門の新組織「ファイナンシャルアドバイザリーグループ」を設置。ここに大和の高知支店のリテール要員を出向の形で受け入れ、自社行員に対して証券ビジネスに・・・