「一億総不健康」に陥った日本
「コロナ自粛」は万病の元
2022年4月号
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の流行が始まり、二年が経過した。この間、日本人の生活は一変した。リモートワークが進み、外食は減った。様々なイベントも中止や延期が続いている。果たして、このような生活様式の変化は、日本人の健康にどのような影響を与えているのだろうか。高橋謙造・帝京大学教授(公衆衛生学)は、現状を評して、「一億総不健康状態」という。長期間の自粛を求めた日本のコロナ対策が「不健康」の大きな要因だと指摘する。一体、どういうことだろうか。
まずは、厚生労働省による公式見解だ。三月十七日現在、五百九十一万一千八百十三人が感染し、二万六千六百人が亡くなっている。人口あたりの感染者数、死者数ともに、経済協力開発機構(OECD)加盟三十八カ国中、二番目に少ない。岸田文雄総理は二月十七日の会見で、「G7各国の状況と比較した場合に、我が国は大変低い感染状況を続けることができている」と自画自賛した。しかし、これは額面通りに受け取れない。
そのことを明らかにしたのは、三月十日に米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)が、英『ランセット』誌に発表した論文だ。IHM・・・
まずは、厚生労働省による公式見解だ。三月十七日現在、五百九十一万一千八百十三人が感染し、二万六千六百人が亡くなっている。人口あたりの感染者数、死者数ともに、経済協力開発機構(OECD)加盟三十八カ国中、二番目に少ない。岸田文雄総理は二月十七日の会見で、「G7各国の状況と比較した場合に、我が国は大変低い感染状況を続けることができている」と自画自賛した。しかし、これは額面通りに受け取れない。
そのことを明らかにしたのは、三月十日に米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)が、英『ランセット』誌に発表した論文だ。IHM・・・