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経済

東北新幹線「地震脱線」の深刻度

JR東日本「安全軽視」が根本原因

2022年4月号

 またしても、東北地方を大きな地震が襲い、誰もが十一年前の悪夢を想起した。幸い被害は小さかったが、東日本の大動脈である東北新幹線は一部で今も止まったままだ。現状、東日本旅客鉄道(JR東日本)は四月二十日頃から全線での運転を再開すると発表している。しかし、「新幹線史上最悪」の脱線事故は今後、想像以上に同社の経営に影響を与えかねない。
 三月十六日の夜中、福島県沖を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生し、白石蔵王駅付近を走行していた東北新幹線の列車は十七両中十六両が脱線。乗員、乗客七十八人のうち、四人が軽傷を負った。新幹線の脱線事故としては、二〇一六年四月の熊本地震での九州新幹線以来。営業運転中に限れば、史上初となった〇四年の新潟県中越地震での上越新幹線の事故以来、十八年ぶり二度目だ。
 今回の事故を受け、一部メディアやネット上では、「負傷者も出さずに停止しており、地震対策が奏功した」「新幹線が安全であることを証明した」などと、JR東の事故対策を評価する声が上がった。一方で「脱線 震災の教訓生きず」(日本経済新聞、三月十八日付朝刊)との指摘もあった。実態は、JR東・・・