ロシアによるウクライナ侵攻が東アジアの安全保障を揺るがしている。日本は主要七カ国（Ｇ７）メンバーとして対ロシア制裁に踏み込んだ。ロシアは三月七日に発表した四十八カ国・地域の「非友好国・地域リスト」に日本や韓国、台湾を含めた。
　ロシアに対し、厳しい姿勢を示しているのが三月九日の韓国大統領選で勝利した尹錫悦前検事総長だ。ロシアによる侵攻直後の二月二十五日に開かれた大統領選候補者討論会では「平和は確実な抑止があってこそ維持される」と述べ、文在寅政権によって弱体化した米韓同盟の強化を訴えた。中国が文政権に要求した「三不政策」（ＴＨＡＡＤ＝高高度ミサイル防衛システム＝の追加配備禁止、日米主導の弾道ミサイル防衛不参加、日米韓協力の軍事同盟格上げの拒否）に応じない考えも示す。
　安保強硬論を打ち出した尹錫悦氏だが、その核戦略についても注目されている。ロシアのプーチン大統領が侵攻直後の演説で、ロシアが核を保有している事実を強調したうえで「（ロシアに対する）いかなる攻撃者も敗北は免れない」と述べ、核の使用をちらつかせたからだ。
　通常兵器や国防予算で北大西洋条約機構（Ｎ・・・