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国際法廷はプーチンを裁けるか

捜査着手で高まる期待と不安

2022年4月号

 国際司法裁判所(ICJ)や国際刑事裁判所(ICC)と言えば、国際政治の舞台では「役に立たない」というのが、通り相場だった。審理に時間がかかりすぎ、執行力がない。日本では、皇后雅子さまの父、小和田恆氏が国際司法裁判所所長(二〇〇九~一二年)だったことで知られる程度だ。
 そんな二つの国際司法機関が、ウクライナ戦争では、矢継ぎ早に動いた。ICCは「戦争犯罪の可能性がある」としてロシアに対する捜査を開始し、ICJも三月十六日、ロシアに対して、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置を出した。
 どちらの司法機関も判決には長年を要するが、米国と欧州連合(EU)は、両裁判所の動きを受けて、国内法の手続きも進める構えだ。ジョー・バイデン米大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について「彼は戦争犯罪者だと思う」と早々に言い切った。

裁判所の存在意義をかけた勝負所

 三月十六日は、クレムリン(ロシア大統領府)の報道官、ドミトリー・ペスコフ氏の厄日だった。ICJが「軍事行動の即時停・・・