三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《クローズ・アップ》齊藤 猛(ENEOSホールディングス次期社長)

“脱石油”には縁遠い「ミニ杉森」

2022年3月号

「いつまでやるか、今はお話しできない」
 ENEOSホールディングス、および傘下の石油元売り最大手、ENEOSの社長に四月、販売部門出身の副社長・齊藤猛が昇格する。サプライズはなく既定路線の人事であり、むしろ焦点は留任する会長グループCEO・杉森務の去就だったが、発表会見の席上、本人は明言を避けた。
 杉森は経団連副会長を六月に退任、来年には石油連盟会長も退くとみられ、社長交代はそのタイミングと予想されていた。一年早まった理由を、杉森は「(二〇二三年度から始まる)次期中計を策定から実行まで新体制で行うのが望ましい」と語った。次の中期経営計画は、まさに同社の消長を左右する“脱石油”のシナリオとなる。
 しかし、杉森発言は聞きようによっては、現行中計を策定し、知多や和歌山の生産拠点の廃止に尽力した現社長・大田勝幸を、もはや用済みと暗示しているようにも聞こえる。事実、大田は代表権のない副会長に退くが、社内に不審の声はない。既視感があるのだ。かつて大田の上司だった経理畑の一色誠一はJX日鉱日石エネルギー(現ENEOS)社長に就いたが、販売部・・・