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社会・文化

野生動物「都市侵入」という災害

「クマ被害」増加にみる人間の劣勢

2022年3月号

 全国的にクマ(ヒグマ、ツキノワグマ)による農業被害や人身被害が増えている。北海道ではヒグマの都市侵入が相次ぎ、二〇二一年六月には札幌で住宅街に出現。四人を負傷させ、丘珠空港の敷地内で射殺駆除された。
 第二の都市、旭川でも六月から九月にかけて中心部の石狩川水系河川敷に小型のヒグマが居着き、JR旭川駅のすぐ裏で足跡やフンが見つかり、半年間に渡って散歩道やパークゴルフ場が閉鎖された。
 環境省の統計で、一九年から二一年までの三年間平均を、十年前の〇九年から一一年の三年間と比べると次のようになる。本州のツキノワグマによる人身事故発生は年平均百十六件(十年前は八十六・七件)、死傷者は百二十七・三人(同九十五・三人)。北海道のヒグマは事故発生が四・三件(同二・三件)、死傷者は五・七人(同二・七人)。この十年間で本州では三割、北海道では二倍も死傷者が増えている。
 人里に迫っているのはクマ類だけではない。イノシシ、シカ、サルなどが農作物を食い荒らし、住宅街に現れて大捕物となる例も増えた。一つ一つは偶然に見えるが、続発傾向は人間と野生動物との距離感が変わった、必然の産・・・