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連載

新大学評判記 第27話

「大東亜以下」の風評被害

2022年3月号

 就職情報業者のマイナビが昨年、首都圏の就職活動中の大学生の一部にメールで流出させた「大東亜以下」の学歴フィルターの存在が、名指しされた首都圏の私立大学を直撃している。日本経済の沈滞が続くなかで、「就職に不利な大学」とのレッテルを貼られ、志願者減に見舞われているからだ。
 地方の国公立大の多くが定員割れを起こすなど国公私立が入り乱れて志願者争奪戦を展開するなか、マイナビの大失策は第二波、第三波の被害を大学業界に広げる恐れがある。
「大東亜」はマイナビの一件で全国にその名を知られることとなった。大東文化大学、東海大学、亜細亜大学の三校と、受験偏差値で同水準とみなされる帝京大学、国士舘大学を指し、「大東亜帝国」とも呼ばれる。首都圏で言えば、早稲田大学、慶應義塾大学を頂点とする私大ヒエラルキーで「上理(上智大学と東京理科大学)」「MARCH」「日東駒専」の下に位置する。「大東亜」までは大学名で認識されるが、その下のクラスになると予備校などの入試偏差値で「Fラン」というカテゴリーで総括される。

志願者減の苦境に
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