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経済

「仕組債」大損で 震える投資家

悪質「売り手」に迫る訴訟ラッシュ

2022年3月号

 証券会社、銀行、金融商品仲介業者(IFA)が「低金利下の運用難のなかで儲かる商品」と言って売りまくった投資商品「仕組債」に元本割れが続出しそうな雲行きだ。世界の株式市場の不安定化で事態が急変。春ごろには老後資金などの資産を投入した個人投資家が惨憺たる状況に陥りかねない。中堅証券のトップは「仕組債を巡って裁判沙汰が広がるのではないか」と懸念している。
 仕組債は、債券とは名ばかりで、実質的には株式にもましてハイリスクな投資商品だ。過去には、学校法人が仕組債投資の財テクで数十億円の穴をあけるなど、失敗談は枚挙にいとまがない。それでも、そんな記憶が世の中から薄れるや、仕組債はジワジワと投資家の間に広がってきた。
 この二年ほど、国内外の株式相場が上昇を続ける中で個人投資家層のリスク感覚が希薄化した。それに付けこむように証券会社などが売り手として積極的に売りまくってきたからだ。
 仕組債は債券に株式インデックスや個別の株式銘柄を組み合わせた商品だ。あらかじめ設定されている一カ月から三カ月ごとの測定日(利払い日と同様に設定されている)に「ノックアウト」といわれる判・・・