株式非公開化 「MBO」に潜む罠
虎視眈眈と狙うファンドたち
2022年3月号
岸田文雄政権が発足した昨年十月以降に東証マザーズは暴落し、公募価格を割る企業が相次いだ。投資家に見向きもされず、上場の意味がなくなったのを機に非公開化を選ぶ企業もある。昨年は経営者による企業買収(MBO)件数が前年を二倍程度上回り、二〇一一年以来過去最高となった。MBOの舞台裏では、スポンサーとなって格安のディールをするプライベート・エクイティ(PE)ファンドや、さらにそれにつけ込むアクティビストが入り乱れ、苛烈なビジネスが繰り広げられている。
「こんな地合いで上場するぐらいなら、非公開企業のまま追加の資金調達をすればよかった」
昨年東証マザーズに上場したばかりの創業社長はやや自嘲気味にそう語る。
「一度公募価格から大きく下がり、時価総額百億円を割り込んでしまえば証券会社のアナリストもカバーしてくれなくなる。国内外の機関投資家は見向きもしなくなり、永遠に浮上できない。高い株価をテコに企業買収・統合(M&A)するという戦略も成り立たなくなり、上場している意味がなくなる」(上場企業経営者)
東証の市場再編は実質的な「東証一部」のブランドを維持し・・・
「こんな地合いで上場するぐらいなら、非公開企業のまま追加の資金調達をすればよかった」
昨年東証マザーズに上場したばかりの創業社長はやや自嘲気味にそう語る。
「一度公募価格から大きく下がり、時価総額百億円を割り込んでしまえば証券会社のアナリストもカバーしてくれなくなる。国内外の機関投資家は見向きもしなくなり、永遠に浮上できない。高い株価をテコに企業買収・統合(M&A)するという戦略も成り立たなくなり、上場している意味がなくなる」(上場企業経営者)
東証の市場再編は実質的な「東証一部」のブランドを維持し・・・