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経済

《企業研究》テレビ朝日

不祥事続発「社長解任劇」の深層

2022年3月号

 仕組まれた解任劇―との見方が専らだ。
 今年二月十日夕、突如、亀山慶二社長兼COO(最高執行責任者)の更迭を発表したテレビ朝日。兼任していた親会社、テレビ朝日ホールディングス(HD)の取締役も含めグループの一切の役職から退く。新たな後任社長は置かず、当面はテレビ朝日・HD各会長兼CEO(最高経営責任者)を務める早河洋氏が兼務する。
 テレビ朝日側が亀山氏解任の理由として挙げたのは三つだ。一つ目がスポーツ局長との意思疎通の欠如。二つ目が不適正な伝票処理による経費の私的流用。そして最後が「その他にも代表取締役として善管注意義務上の問題行為があった」というものである。
 亀山氏は二〇一九年の社長昇格後も「スポーツ局統括」として同局を取り仕切り、ほぼ毎週、局内の主要な役職者を集めては「報告会」なる会合を主宰していた。しかし合理的な理由もなくこの報告会から局長を排除。そのうえ日常的な意思疎通も十分に行わず、指揮命令系統の混乱を招き、職場環境を悪化させた。これが第一の理由の中身である。
 また二点目の理由となった経費の私的流用は、スポーツイベントへの出席や・・・