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政治

動き出した大宏池会「包囲網」

《政界スキャン》

2022年3月号

「失言王」麻生太郎氏にさしたる品格・教養・識見が備わっていないことは誰でも容易にみてとれるが、それでも今日まで政界中枢に重きをなしてきたのは、単に血筋と財力と星回りに恵まれていたお陰だけかと言えば、それもまた違うだろう。政界での成功に欠かせない仲間作りに、麻生氏が人並み以上の能力を発揮したのは事実である。あの嫌みな言動だから、天性の才能があったとは思えないが、だからこそ人一倍の意志で努力したのに違いない。
 約四十年の議員生活の前半生は傍流の変わり種でしかなかった。宏池会を出て河野洋平氏とグループを立ち上げた時は、わずか十六人。麻生氏は還暦近かった。
 初めて自民党総裁選に出た二〇〇一年の得票数は、たったの三十一票。一位は小泉純一郎氏二百九十八票、二位が橋本龍太郎氏百五十五票だから、完全な泡沫で終わる可能性もあった。
 しかし、二度目(〇六年)百三十六票(当選安倍晋三氏)、三度目(〇七年)百九十七票(当選福田康夫氏)、そしてついに四度目(〇八年)三百五十一票で首相の座に就く。毎回着実に得票数を増やした点は、運と勢いだけでない非凡さを認めねばなるまい。{br・・・