《広島、長崎の原爆並みの破壊力》
モルドバ科学アカデミー

　今冬の欧州サッカーが佳境を迎えている。その最高峰、欧州チャンピオンズ・リーグで今季、最大の番狂わせだったのは、昨年九月、スペインのレアル・マドリードがシェリフ・ティラスポリに敗れた一戦だ。このチームが何者か分かる人は、相当なサッカー通か、国際政治を追っている人だ。
　ティラスポリがある「沿ドニエストル共和国（以下、トランスニストリア）」は一九九一年に「独立」を宣言した。以来三十年以上、世界中の大半の国から承認されていない。ドニエストル川沿いにあり、ウクライナとモルドバにはさまれた地峡に三十万人あまりが住んでいる。面積は山梨県ほどだ。
　オーナー企業「シェリフ」は、九三年に、ビクトル・グシャンらソ連の治安機関出身者によって創設された。米国のシェリフ（保安官）は法と秩序を守る正義の味方だが、こちらのシェリフは、どの国の法律も守らない。
　シェリフは、ガソリン・スタンドのチェーン、スーパーマーケット、自動車販売など人々の暮らしに必要な業界・・・