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綻び露わの中国「一帯一路」

「真珠の首飾り」は壮大な画餅か

2022年3月号

 中国の一帯一路構想が早くも、大きな欠陥を曝け出した。
 先行したスリランカやパキスタンの巨大交通インフラが、ほとんど使われないまま借金ばかりを積み重ねているからだ。スリランカは今年中にも債務不履行になるというギリギリまで追い込まれ、新型コロナウイルス禍の中で、国民は窮乏生活を強いられている。
 昨年十二月二十二日。暮れも押し迫る中、スリランカ政府は金策に追われていた。そこにイランから思わぬプレゼントが届いた。
「石油を輸入した債務を、セイロン・ティー輸出で返済したい」というスリランカ政府の提案を、イラン政府が了承したのだ。
 スリランカはイランに二億五千万ドル(約二百八十八億円)の借金を抱えている。
「毎月、特産の茶葉を五百万ドル分ずつ送って返済したい」という申し出を、食料品不足に苦しむイランが受け入れた。「お茶なら国連や米国の対イラン制裁にも違反しない」ということまで計算に入れての、苦肉の策だった。
 スリランカでは今年一月末から、全国的な計画停電が始まった。日用品の輸入が止まり、スーパーマーケットの棚はスカスカだ。米や砂・・・

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