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メキシコ大統領と麻薬組織の「蜜月」

中米を支配する「黒社会」の戦慄

2022年3月号

 メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領(通称AMLO)に、同国内の麻薬カルテルとの癒着疑惑が持ち上がっている。特に北西部シナロア州を拠点とするシナロア・カルテルとの間では、米国で収監中の首領ホアキン・グスマン受刑者の母親と会って握手をするなど、ただならぬ緊密さを見せている。
 メキシコのメディアが追及姿勢を強める中、ジャーナリストが襲われる事件が頻発し、今年は年初から二カ月足らずの間に、五人もの記者が殺害された。メディアは政権批判の姿勢を強めており、大統領の六年の任期後半(二〇二四年まで)は、大荒れの様相である。

記者たちが次々と殺される国

 メキシコ大統領府詰めの記者たちは、大概のことには驚かない。
 この国の大統領には、天文学的な額の汚職疑惑が持ち上がることはしばしばある。多くは不問のまま、闇に葬り去られる。エンリケ・ペーニャ・ニエト前大統領に対しては、米国でのグスマン裁判で、カルテルの元幹部から「ペーニャ大統領には二億五千万ドルを要求されたが、一億ドルで手を打っ・・・