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社会・文化

NHK交響楽団に迫る「リストラ」

前田会長の「合理化」の犠牲に

2022年2月号

 NHKは二〇二三年四月にグループの四つの一般財団法人を合併し、NHK交響楽団(N響)を傘下に入れると一月十三日に発表した。
 日本中のオーケストラが新型コロナウイルスの影響で公演収入が急減し経営が逼迫する中、楽員数約百十人、平均年収が一千万円を超える「ブラックボックス」N響への風当たりは強い。何とか合併は免れたが、NHK内では「このままではすまない」(報道局)と今後のリストラを示唆する声が聞こえる。
 合併協議が順調に進めば、NHKサービスセンターなど一般財団法人四財団を合併した新財団の子財団として公益財団法人のN響がぶら下がる。
 新財団に合併されて公益財団法人から一般財団法人に格下げされるというN響にとって最悪のシナリオは回避した。だが、交響楽団という異質の経営形態で維持してきた独自の雇用体系や賃金体系が見直される可能性がある。
 業務、受信料、ガバナンスの三位一体改革を仕上げるとして中期経営計画を掲げた前田晃伸会長は、「NHKの組織は縦割りに過ぎる」と断じ、地方局とともに経験や年齢を無視した掟破りの局間横断人事で現場を震撼させた。
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