三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

外食産業は「解体的再編」へ

「多重苦」の業界を見捨てた政官

2022年2月号

 新型コロナウイルスの感染拡大で直撃を受けた外食産業は、オミクロン株の爆発的な流行で、再び苦境に立たされている。さらに年明けとともに賃金上昇や食材の値上げ圧力が強まっており、コロナ禍が落ち着いたとしても厳しい経営環境が続く。外食産業の縮小により業界団体の政治力も弱まっている。これまでファストフードなど大手チェーンが中核だった業界秩序が乱れる可能性がある。
 飲食店の営業規制や、従業員の感染による休業などは深刻だ。しかし、外食産業が真に恐れているのは、消費者が感染防止を前提にした生活パターンに慣れきってしまい、顧客が戻らないことだ。
 既にその予兆はある。営業規制が撤廃された昨年末も、職場などの忘年会を見送るケースが続出。宅配の便利さに気付いた高齢者、自炊が安価で健康的だと目覚めた学生、週末に一流シェフのレシピを取り寄せ自宅で調理を楽しむ共稼ぎ夫婦など、「新しい生活パターン」が定着し始めている。
 業界側も「コロナ体制」のオペレーションに慣れてしまい、日本の外食産業最大のセールスポイントであるきめのこまかい応接などの技術伝承が困難になっている。ブラック職場の・・・