銀行業界に新たな「システム問題」
IBMが起こす「クラウド化」の波
2022年2月号
日本の銀行業界で、新たな「システム問題」が浮上しつつある。大型コンピュータを使う従来のシステムから、クラウド上で運用するものへの転換を迫られようとしているのだ。米国のコンピュータ大手IBMの突然の方針転換により、金融庁が想定していた時期より大きく前倒しになりそうだという。特に一部の地方銀行は難しい判断が求められることになる。
昨年十一月、東京・霞が関の金融庁の一室で、ある勉強会が開かれた。テーマは金融機関のコンピュータシステムの将来。集まったのは、システム障害問題を受けてみずほ銀行に常駐していた、同庁総合政策局のIT・サイバーモニタリングチームの面々だ。
外部から招かれた講師はまず、昨年九月の米国での報道に言及した。「アメリカンバンカー」誌は、「JPモルガン・チェース銀行がリテール(個人顧客)向けの勘定系システムをクラウドに移行する」と報じた。同行のリテール勘定系は、IBMの大型汎用機(メーンフレーム)を使ったシステムが採用されてきた。IBMの重要顧客だったJPモルガンが、ほとんど無名の英国のベンチャー企業のクラウド・システムを採用することが明らかになったのだ・・・
昨年十一月、東京・霞が関の金融庁の一室で、ある勉強会が開かれた。テーマは金融機関のコンピュータシステムの将来。集まったのは、システム障害問題を受けてみずほ銀行に常駐していた、同庁総合政策局のIT・サイバーモニタリングチームの面々だ。
外部から招かれた講師はまず、昨年九月の米国での報道に言及した。「アメリカンバンカー」誌は、「JPモルガン・チェース銀行がリテール(個人顧客)向けの勘定系システムをクラウドに移行する」と報じた。同行のリテール勘定系は、IBMの大型汎用機(メーンフレーム)を使ったシステムが採用されてきた。IBMの重要顧客だったJPモルガンが、ほとんど無名の英国のベンチャー企業のクラウド・システムを採用することが明らかになったのだ・・・