岸田と安倍「対中決議」の暗闘
各所で顕在化する「党内不和」
2022年2月号
岸田政権発足以来、くすぶっていた岸田文雄に対する不満を、元首相・安倍晋三はテレビカメラの前で爆発させた。
「論戦を避ける形で登録を申請しないのは間違っている。しっかりとファクトベースで反論していくことが最も大切だ」
一月二十日の昼下がり。自身が会長を務める安倍派(清和政策研究会)会合の冒頭、記者団がいるのを承知の上で、「佐渡島金山」の世界遺産推薦に消極的な政府を痛烈に批判したのだ。これまでも親しい記者には、岸田批判を漏らしていた安倍だが、露骨な「政権批判」は初めてだった。
批判の矛先には、煮え切らない岸田とともに外相の林芳正がいる。
韓国は、戦時中に朝鮮半島出身者約一千人が、佐渡金山で働いていたことをとらえて「強制労働させられた被害の現場だ」と主張、登録に反対する方針を明確にしている。
外相就任まで保守派から「媚中派」の巣窟と揶揄されている日中友好議員連盟の会長を務め、「低重心外交」をモットーとしている林としては、近隣諸国ともめ事は起こしたくない。「金山」問題も林の判断で推薦しない方針を固めたことを安倍は耳にしていた。
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「論戦を避ける形で登録を申請しないのは間違っている。しっかりとファクトベースで反論していくことが最も大切だ」
一月二十日の昼下がり。自身が会長を務める安倍派(清和政策研究会)会合の冒頭、記者団がいるのを承知の上で、「佐渡島金山」の世界遺産推薦に消極的な政府を痛烈に批判したのだ。これまでも親しい記者には、岸田批判を漏らしていた安倍だが、露骨な「政権批判」は初めてだった。
批判の矛先には、煮え切らない岸田とともに外相の林芳正がいる。
韓国は、戦時中に朝鮮半島出身者約一千人が、佐渡金山で働いていたことをとらえて「強制労働させられた被害の現場だ」と主張、登録に反対する方針を明確にしている。
外相就任まで保守派から「媚中派」の巣窟と揶揄されている日中友好議員連盟の会長を務め、「低重心外交」をモットーとしている林としては、近隣諸国ともめ事は起こしたくない。「金山」問題も林の判断で推薦しない方針を固めたことを安倍は耳にしていた。
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