インドが怯える「二正面戦争」
中国とパキスタンの不穏な連携
2022年2月号
中国とインドの国境紛争で、中国がヒマラヤ山系の係争地に続いて、東部のアルナチャル・プラデシュ州(以下アルナチャル)についても「中国領である」との主張を強め、インド政府を怒らせている。中国はこの地区に次々と中国語名をつけて、「中国固有の領土」という国際的なPRを拡大している。
一方、パキスタンも中国と連携する形で、印パ国境での圧力を強めている。インド国内では、中パ両国と同時に戦う「二正面戦争」への恐怖が、広がっている。
中印摩擦の最新の戦場となったアルナチャルは、インド独立後しばらく「北東辺境地区」と呼ばれ、一九八七年に「州」と認定された。北海道ほどの面積に約百四十万人が住んでいる。
住民の多くはチベット語族と分類されるが、インド人の言語学者の間でも「隣の村でも、言葉が全く通じない」とされ、学校教育ではヒンドゥー語、英語教育に重点が置かれている。
中国は一貫してインドの領有権を認めず、一九六二年の中印国境紛争では一時、この地方全体を占領した。中国はその後撤兵して、インド軍が「マクマホン・ライン」と呼ばれる実効支配線まで、勢力を押し戻した。・・・
一方、パキスタンも中国と連携する形で、印パ国境での圧力を強めている。インド国内では、中パ両国と同時に戦う「二正面戦争」への恐怖が、広がっている。
中印摩擦の最新の戦場となったアルナチャルは、インド独立後しばらく「北東辺境地区」と呼ばれ、一九八七年に「州」と認定された。北海道ほどの面積に約百四十万人が住んでいる。
住民の多くはチベット語族と分類されるが、インド人の言語学者の間でも「隣の村でも、言葉が全く通じない」とされ、学校教育ではヒンドゥー語、英語教育に重点が置かれている。
中国は一貫してインドの領有権を認めず、一九六二年の中印国境紛争では一時、この地方全体を占領した。中国はその後撤兵して、インド軍が「マクマホン・ライン」と呼ばれる実効支配線まで、勢力を押し戻した。・・・