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WORLD

米社会に広がる「暴徒の政治」

各地の行政に抗う過激集団

2022年2月号

 昨年一月の米連邦議会議事堂襲撃事件で、世界に大きな衝撃を与えた米国の極右勢力が、米社会の主流に次々と進出している。 「テロリスト」と非難された極右団体は軒並み復権し、共和党幹部たちは、極右の支援役に回っている。新たな暴力事件再発への危惧も高まっている。
 米政治の現状を鮮やかに映し出すのが、共和党幹部たちの言動だ。昨年一月六日の連邦議事堂への暴徒乱入時には、自分たちも逃げまどっていたのに、最近は極右非難をぱったりとやめたばかりか、「愛国者」と称える者まで現れた。  
 代表格が「風見鶏」で有名な、テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員だ。昨年の事件発生時には、「議事堂に対する暴力的なテロリスト攻撃」と、厳しい言葉で襲撃者たちを非難した。それから一年後の今年一月、クルーズ議員は弁明に追われた。  
 保守系フォックス・ニュースへの出演で、「テロリスト」発言の真意を追及されたクルーズ氏は、こう答えた。
「抗議のために立ち上がった人々をテロリスト呼ばわりしたら、愚か者ですよ」
「あなたは、そう言ったじゃないですか」
「私は、警官・・・