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社会・文化

富士山は大丈夫なのか

火山研究の拡充は国家の急務

2022年1月号

 師走の日本列島は寒さに身震いしているかのように地震が相次いだ。トカラ列島では群発地震が発生し、悪石島の住民が島外避難に追い込まれた。十二月三日に和歌山県御坊市で震度五弱を観測した地震の震源は、南海トラフ巨大地震の想定震源域周辺だった。想定よりも浅かったと発表されたものの、関西には不安が広がった。
活火山近傍の「深部低周波地震」
 関東や東海地方に住む人が不穏に感じたのは、和歌山の地震と同日に相次いだ山梨県・富士五湖周辺での地震だろう。午前六時三十七分に最大震度五弱、マグニチュード四・九の地震が発生した。富士五湖周辺で、震度五弱を観測したのは九年ぶりのことだ。しかも、この日の未明、午前二時台には震度四と震度三の揺れが相次いで同一エリアで観測されている。
 場所が場所だけに、富士山の火山活動が頭をよぎった人も多いだろう。ただ、気象庁はすぐさま会見で「富士山の火山活動とは直接的に関係ない」と否定した。このこと自体は間違っていないのかもしれない。しかし、気象庁は実際に富士山が噴火したときの地震活動データを持っているわけではない。そんな状態で、「これは火山活動と関・・・