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連載

《世界のキーパーソン》サイフ・アル=イスラム・カダフィ(リビア大統領選候補者)

「カダフィ家」の復興目指す

2022年1月号

 二〇一一年に殺害された独裁者、ムアンマール・カダフィ(通称「大佐」)の次男である。
 二一年十二月のリビア大統領選に臨んでいたが、選挙は大方の予想通り、一月に延期された。選管に登録された立候補者は九十八人にのぼり、どんな決着になるのか誰にも分からない。カダフィ殺害後のリビアはずっと不安定で、ほぼ間断なく内戦が続いていた。
 在米リビア・ウォッチャーは「この国はカダフィ時代も今も、部族の国だ。ざっと百四十もの部族が、それぞれ支配地を持ってひしめきあっている」と解説する。
 カダフィ家もその一つ。「狂犬」ムアンマールは派手な立ち居振る舞いと残虐な手法、そして石油の富で、天下統一を果たした。
 八人の実子は、「お前たちの夢を叶えろ」と励まされた。大概のことは、父親が金で助けてくれた。
 プロサッカー選手志望の三男アル=サアディは、ディエゴ・マラドーナに個人的にコーチを受け、イタリアのセリエAのチームに加わった(ほとんど出番なく引退)。
 唯一の実の娘アイシャは、国連親善大使になった。彼女はアラブのメディアでは、「北アフリカのクラウ・・・