三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

非力さ増すアメリカ

中露同盟が世界を荒らす一年

2022年1月号特別リポート

 二〇二一年が終わり、新しい年を迎えた。祝い気分が今一つなのは、新型コロナウイルスの波が昨年同様に、今年も世界中を覆っているからである。
 ある意味でそれより深刻なのが、自由世界の盟主である米国が、ジョー・バイデン大統領という新指導者を迎えたにもかかわらず、世界の心配事はむしろ増えているように見えることだ。
 習近平国家主席の中国と、ウラジーミル・プーチン大統領のロシアは確実に一年前より危険な存在になった。中露はまるで「同盟国」のように、大胆かつ傲慢に動いている。これは、米中露の指導者のスタイルや個性を超えて、米国の力の相対的な低下を示すものにほかならない。
 自信を増した中国は、米国の社会・経済モデルが中国のそれより、劣っているとの主張を強めている。ロシアは東西冷戦時代と同じ勢力圏を、自国に認めるようバイデン政権に迫っている。
 日本にとっては、単に日米同盟を強化するだけでなく、G7(先進七カ国)の枠組みで自由主義陣営の結束を進める時である。

「決められない政治」に陥る米国
{b・・・