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経済

日本製薬業界「コロナ完敗」の二年

「創薬先進国」にはもう戻れない

2022年1月号

 新型コロナウイルスの世界的流行が三年目に入り、ワクチン開発で先行した国と遅れた国との創薬態勢の格差が新型コロナ以外の領域にも広がっている。インフルエンザ、がん、マラリアなどに対するワクチン開発から臨床試験のあり方まで、スタートダッシュができなかった日本の医療関連分野は更なる衰退必至で、国民全体に影響が及ぶ恐れが高まっている。
 米ファイザーと独ビオンテックが開発したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、米メルクが開発した経口治療薬モルヌピラビルなど、この二年間の新型コロナ関連の創薬のスピードは驚異的だった。
 二一年末時点で日本では三種類のワクチンと五種類の新薬が承認されているものの、日本企業が開発したものはない。欧米の巨大製薬企業(メガファーマ)はもとより、中国、ロシア、キューバ、インドが国産ワクチンの開発に成功したのとは対照的だ。

ワクチンの応用で日本は蚊帳の外

 問題は、出足の遅れが新型コロナ関係の創薬にとどまらず、新たな分野でも格差を生もうとしていることだ。
 格差・・・