Ｅコマース、配車から動画配信、電子決済、デジタル人民元まで様々な分野で世界のデジタル化の先頭を走る中国。習近平政権は二〇二一年スタートした第十四次五カ年計画で、農業・製造業・流通・小売を垂直統合する国家経済全体のデジタル化を目指し始めた。資源や食料、工業製品を国内で計画的に無駄なく生産・消費し、米国主導の対中包囲網を突破する「デジタル国家総動員体制」とも呼ぶべきものだ。共産党が国有企業だけでなく民間企業の経営資源も国家のために利用するようになれば、日米欧など自由主義陣営には深刻な脅威となるのは間違いない。
「デジタル化発展の加速とデジタル中国の建設」。二一年三月の全国人民代表大会（全人代）で採択された第十四次五カ年計画の第五編のタイトルだ。言うまでもなく、五カ年計画が「デジタル」に一編を割り当てたのは初めてであり、十三次五カ年計画に続いて、十四次でも一編が割かれた「イノベーション」とともに中国経済が進もうとする方向を示している。
　五カ年計画が発表されると、中国政府の各部門は具体的な実施戦略を・・・