日本の科学アラカルト 137
次世代電子デバイスに不可欠 「薄膜製造技術」が秘める可能性
2022年1月号
薄膜―。文字通り薄い膜のことである。用途によってどのくらい薄いのかには差がある。一言で薄膜といっても、マイクロメートル(一千分の一ミリ)単位から、ナノメートル(百万分の一ミリ)まで大きな幅があるのだ。身の回りのものでは、いわゆる「メッキ」も、物体の表面に特定の金属の薄膜を作製したものである。
薄膜は、電子デバイスの分野でも有用で、すでに実用化されているものも多い。しかし、小型化、高性能化のために薄膜の技術進化も重要で、さまざまな研究が日本国内で進められている。
東京大学と協和界面科学などの研究グループは二〇二一年十二月、新しい薄膜製造技術の開発に成功したと発表した。
水面に特定の分子を展開すると、すみやかに広がって分子レベルの薄い膜状の集合体を形成することが知られている。油を一滴、水面に落とすことを想像してもらえば近いだろう。
ある機能性分子を水面に展開してナノメートルサイズの厚さを持つ薄膜を形成し、これを基板に写し取ることで固体性の機能性薄膜を作製することができる。水面に水より比重の軽い絵の具を垂らして模様をつくり、紙に転写する「マー・・・
薄膜は、電子デバイスの分野でも有用で、すでに実用化されているものも多い。しかし、小型化、高性能化のために薄膜の技術進化も重要で、さまざまな研究が日本国内で進められている。
東京大学と協和界面科学などの研究グループは二〇二一年十二月、新しい薄膜製造技術の開発に成功したと発表した。
水面に特定の分子を展開すると、すみやかに広がって分子レベルの薄い膜状の集合体を形成することが知られている。油を一滴、水面に落とすことを想像してもらえば近いだろう。
ある機能性分子を水面に展開してナノメートルサイズの厚さを持つ薄膜を形成し、これを基板に写し取ることで固体性の機能性薄膜を作製することができる。水面に水より比重の軽い絵の具を垂らして模様をつくり、紙に転写する「マー・・・