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連載

皇室の風 第161話

崩壊への変化の予感
岩井 克己

2022年1月号

 モッコウバラをついに撤去した。
 眞子元内親王のお印で、我が家の車庫脇に置いていた鉢植えが次第に根を張り枝を伸ばし、車庫の屋根一面を無数の黄色い花が覆うのを愛でていた。しかし、長ずるに従い逞しく強靭に育つ樹勢に、剪定が手に負えなくなり、歳末に庭師に切ってもらったのだ。
 冬空の下、ぽっかりあいた空間が寒々しく、喪失感がある。
 愛娘が異例の結婚に踏み切って米国に去ったあとの父親秋篠宮の誕生日会見は約一時間に及んだ。
 筆者も二年ほど週刊誌に配属された経験があるが、とかく部数狙いで「みんなで渡れば怖くない」と上げたり下げたり雪崩れるのは雑誌の性だ。それにしても、雑誌やSNSの秋篠宮家たたきは度が過ぎていた。義父・川嶋辰彦が亡くなる不幸まであった。
 そんな逆風のなかでの辛い記者会見。疲弊した表情ではあったが、例年通り原稿なしで臨み、時折ことばを選びながらも上辺を繕ったり本音を隠したりせず、紋切り型の「皇室ことば」に逃げることもせず、終始自らの肉声で答えた。
 公人として誠意を尽くそうとした姿勢には敬意を表したい。
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