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経済

《地方金融の研究》名古屋銀行

競合二行の統合で「好機」到来

2022年1月号

「地域での存在感を高めるのが目的。統合で愛知県内での(融資)シェアは地銀トップになる。攻めの統合だ」
 中京銀行との経営統合で基本合意した愛知銀行。名古屋市内で二〇二一年十二月に行われた記者会見で伊藤行記頭取はこう獅子吼し、高揚感をにじませた。二二年十月にも共同持ち株会社を設立、株式移転で両行がそれにぶら下がった後、二四年をメドに合併する。
 二一年九月末時点における貸出金残高は愛知銀が二兆六千五百四十一億円、中京銀が一兆五千二百六億円。合わせれば四兆一千七百四十七億円となって、現在県内地銀首位の名古屋銀行の三兆二千二百五十五億円を逆転し、頂点へと上り詰める。
 東京商工リサーチが二一年夏に県内企業約八・一四万社を対象として行ったメーンバンク先調査によると、シェアトップは旧東海銀行を母体の一つとする三菱UFJ銀行で二三・七九%。次いで名古屋銀が一〇・五四%となっている。これに対し愛知銀は八・〇一%で三位。中京銀は岡崎信用金庫(シェア六・四一%)や瀬戸信用金庫(同四・二五%)といった信金勢にも劣後し、四・一九%で六位にとどまる。統合が実現すれば単純合算ではこ・・・