トヨタの遅すぎた「EV宣言」
米GM衰退の足跡とそっくり
2022年1月号
トヨタ自動車が二〇三〇年の電気自動車(EV)の販売目標を従来の二百万台から三百五十万台に引き上げた。「EVに対して消極的」という株主やユーザーの批判に押されての戦略転換の印象は拭えない。三十車種のEVを商品化する大胆な方針も表明したが、開発力、資金力の誇示だけで、EVで切り札車種を持っていない開発事情が透けて見えた。豊田章男社長が重視する国内の自動車産業死守への具体的方策は一段と見えにくくなった。そうしたトヨタの姿は一九九〇年に日本車キラーの小型車を売り出したものの、市場変化に追いつけず、世界のトップ集団から脱落した米ゼネラル・モーターズ(GM)の姿に重なってくる。
豊田社長自らが壇上に立った二一年十二月十四日の「EV戦略説明会」では自動車市場の未来に対する考えや決意は明確には語られなかった。話題となるはずの「三百五十万台」の目標数値もどこの市場で、どのような車種構成で販売するのか、三百五十万台がその時点でトヨタの経営にどれくらいの重みを持つのかなど戦略はほとんど示されなかった。
ちょうど五カ月前の七月十四日。独フォルクスワーゲンのヘルベルト・ディースCEOが・・・
豊田社長自らが壇上に立った二一年十二月十四日の「EV戦略説明会」では自動車市場の未来に対する考えや決意は明確には語られなかった。話題となるはずの「三百五十万台」の目標数値もどこの市場で、どのような車種構成で販売するのか、三百五十万台がその時点でトヨタの経営にどれくらいの重みを持つのかなど戦略はほとんど示されなかった。
ちょうど五カ月前の七月十四日。独フォルクスワーゲンのヘルベルト・ディースCEOが・・・