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「台湾孤立」を狙う中国の外交戦

「断交ラッシュ」に怯える蔡英文

2022年1月号

 二〇二一年のクリスマス・シーズン、台北市内のスーパーには、リトアニア産のチョコレートやチーズが山のように積まれた。台湾ではリトアニア製品を贈り物にするのが静かなブームになっている。リトアニアは二一年十一月、「台湾」の名を冠した代表機関の設置を承認した。台湾の蔡英文政権は与党、民主進歩党に近い商社や食品会社に呼びかけ、リトアニア産品を大量に輸入した。店頭の商品には台湾の「感謝」が込められている。
 リトアニアは中国の逆鱗に触れ、ただちに制裁を受けた。さらに、中国は台湾と国交のある国を一気に奪い「二二年に断交ラッシュが起きるかもしれない」との指摘もある。中台の対立は一層熾烈な局面を迎えそうだ。
 中国はリトアニアとの外交関係を「代理大使級」に格下げしたほか、同国の商品の国内への受け入れを拒否。台湾当局はリトアニアの二〇年対中輸出以上の輸入を当面の目標にしている。
 台湾は欧米や日本などの主要国に外交出先機関を設置しているが、中国の圧力で「台湾」が使えず、ほとんどは「台北経済文化代表処」にしている。外交官から一般市民まで、屈辱を感じる人は多い。
 米・・・