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社会・文化

高齢者の「コロナ免疫」は大丈夫か

第六波で怖い「致死率上昇」

2021年12月号

 新型コロナウイルスの流行が落ち着いている。しかし、夏直前にワクチン接種を済ませた高齢者の免疫は低下している。冬場の流行期、日本だけが無事とは考えられず、深刻な「第六波」への警戒が必要だ。  
 世界の感染者数は十月中旬より再拡大に転じた。欧州のほぼ全域、アジアでも韓国、ベトナム、マレーシア、ラオスで拡大している。  
 十一月十六日現在の日本の感染者は、人口百万人あたり・七日間平均で一・三人。主要先進七カ国(G7)で日本の次に少ないカナダ(六十三・六人)の四十九分の一だ。  
 日本の鎮静化はワクチン接種状況の特殊性による。接種の本格化は五月以降。米国から四カ月、欧州諸国から三カ月遅れている。菅義偉前政権は、強権的な手法で遅れを取り戻した。二回接種完了率は十一月一日には七二・八%に増加した。日本人の四五%が九月以降にワクチン接種を終えており、欧米の約二〇%の二倍以上だ。
 コロナワクチンは、接種から一~二カ月は、感染をほぼ予防する。日本では感染拡大の中核である現役世代の多くが、ワクチン接種を終えてから時間がたっていないため、感染が拡大しないのだ・・・