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連載

新大学評判記 第24話

奈良女子大学  新設「工学部」に高まる期待

2021年12月号

 日本にある大学(短大含む)七百八十八校(二一年四月)のうち、女子大学は約一割の七十六校にのぼるが、国立は東のお茶の水女子大学と西の奈良女子大学の二校しかない。両校の卒業生は教員、公務員はじめ各分野で女性の社会進出の先兵として活躍してきた。だが、企業の研究開発を担うエンジニアとなった事例はわずか。いわゆる「リケジョ」(理系女子)は男女共学の工学部が主に育成してきたが、女子のみの工学部を奈良女子大が来年四月に新設する。エンジニアの需要が高まるなか、「女子大工学部」は新たな挑戦となる。
「ならじょ」の略称で呼ばれる同女子大は明治時代に創設された奈良女子高等師範学校が前身で、一九四九年に新制の四年制大学としてお茶の水女子大とともにスタートした。女子学生のための女子教員を養成する教育機関だったが、文学部、理学部、生活環境学部(旧家政学部)の三学部を持つと、数こそ少ないものの、理学部卒業生から製造業の研究職に就く人材も出している。  
 広く西日本から入学者を集めており、九州や四国出身者も少なくない。西日本を代表する女子大が大阪や京都ではなく、奈良に設置された理由は定かではな・・・