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WORLD

先進国「化石燃料争奪」の醜悪

COPは単なる「茶番劇」

2021年12月号

 第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)は蜃気楼だった―。世界の環境団体にそんな錯覚を抱かせるほど、日米欧など主要国がCOP閉幕の直後から、化石燃料確保にまい進している。
 世界経済が回復に向かう中、エネルギー不足が各地で起こり、石油と天然ガス価格が高騰しているためだ。石油輸出国機構(OPEC)やロシアは、チャンス到来と見て増産を控え、高値維持で大儲けをたくらんでいる。COPで悪役になった中国は、冬を乗り切るための石炭増産に転じた。
 スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリ氏が「言葉だけで行動なし」と嘆いた通りの、各国の豹変ぶりである。
 大言壮語と行動の落差が最も大きいのは、ジョー・バイデン大統領率いる米国政府である。
 COP閉幕直後の十一月十七日、米政府はメキシコ湾での石油採掘のためのリース権入札を行った。バイデン政権誕生後、初めてだ。
 エクソン・モービル、シェブロン、BP、ロイヤル・ダッチ・シェルなど石油メジャーがどっと入札に群がり、落札額は合計で一億九千万ドル(約二百十七億円)超の大商いとなった。
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