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経済

《企業研究》ENEOS

再生エネ企業「超高値掴み」の奇怪

2021年11月号

 長崎市街から車で五十分、大村湾を望む風光明媚な入り江に、その白亜の高級リゾートホテルは立っている。
「パサージュ琴海」―。ゴルフ場やプール、温泉設備を備える同ホテルは、石油元売り最大手、ENEOSホールディングス(エネオスHD)が誇るゲストハウスのひとつだ。ここを舞台に、日本石油の時代から“販売のドン”と言われた元社長・会長の渡文明(故人)らは、特約店幹部を接待し、ガソリン販売トップの凱歌を上げてきたのである。日石出身の幹部が振り返る。
「日石は新潟、山口にもゴルフ場をもっていたが、とりわけ海越えホールなど凝った設計のコースの琴海はゴルフ好きに人気があった。ヒマラヤ杉の木立ち越しに見る大村湾の景観にも癒やされる」
 しかし、今や脱炭素の勢いは止まらず、ガソリン需要は減少の一途をたどっている。近い将来、同ホテルは売却され、“兵どもが夢の跡”となることだろう。なぜなら、米国の投資銀行、ゴールドマン・サックス(GS)がこの不動産に目を付けたからだ。
 実は「パサージュ琴海」は、エネオスHDの東証上場の道・・・

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