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政治

岸田文雄の「賞味期限」

与党で鳴り出す「不協和音」

2021年11月号

 第百代の首相に就任した岸田文雄(六四)は九月二十九日に自民党総裁の座を勝ち取ってからわずか一カ月余で衆院選挙を駆け抜けた。だが、岸田はこれで山を越えたわけではない。むしろこれからが正念場。最大の不安定要因は総裁選から衆院選挙に至る過程で自民党内に不満を鬱積させていることだ。
 中でも岸田が向き合わなければならないのが、専横ぶりが目に余る元首相安倍晋三(六七)だろう。安倍の理不尽な振る舞いは衆院山口三区の公認調整を見れば分かる。
 この選挙区では元官房長官の河村建夫(七八)が、参院議員だった元農水相林芳正(六〇)の“殴り込み”を受け選挙区を追われた。自民党の公認原則は「現職優先」。しかし、隣接する選挙区で長く政治行動を共にしてきた安倍は、全くと言っていいほど河村に救いの手を差し伸べることがなかった。むしろ安倍が力を込めたのは「河村家の根絶やし作戦」(参院自民党幹部)だった。
 河村の後継者である長男の建一(四五)を中国ブロックの比例候補ではなく、縁も所縁もない北関東ブロックで公認させたのだった。江戸時代で言えば「転封」である。これに・・・