《罪深きはこの官僚》 松尾元信(金融庁総合政策局長)
効果なき「みずほ実質管理」を主導
2021年11月号
トラブルが常態化したみずほ銀行に対する金融庁の検査は現在進行形だ。九月の行政処分を巡り、「金融庁がシステムを直接管理する」という趣旨の報道が出て、直後に当時の麻生太郎金融担当相がこれを否定する一幕もあった。その後、報道では「実質管理」や「共同管理」という言葉に代わったが、実態はどうなのか。
十月に入り、東京・大手町のみずほ銀本店の会議室に、金融庁の職員が乗り込み、「常駐」がはじまった。担当する部署は総合政策局。組織図をみると、金融庁の官房機能や国際部門と並び、金融システムをモニタリングする「リスク分析総括課」がある。
同課は、金融庁が入る中央合同庁舎第七号館の六階から十階にかけて、担当ごとに部屋が点在している。総勢二百数十人の課員には、民間出身者などが含まれ、サイバーセキュリティや、暗号資産、金融システムなどを監視する。
金融庁の筆頭局である総合政策局のトップは松尾元信氏が務める。東京大学法学部出身で、一九八七年に旧大蔵省に入省し、主計局を中心にキャリアを積んだ後、二〇一四年に金融庁へと移った。参事官や証券取引等監視委員会事務局長を歴任・・・