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政治

岸田政権「開成閥」の虚像と実像

《政界スキャン》

2021年11月号

 卒業生には悲願だったらしい初の「開成閥」政権が誕生した。といっても、大っぴらな祝賀会は当分お預けするしかあるまい。新型コロナウイルス感染の第六波到来が確実視されているのに、初老の男集団が酒気帯びで呵々大笑したら大ひんしゅく間違いなし。まして政権は出はなの衆院選が振るわずお祝い気分はあっという間にしぼんだ。開けるのは来年夏の参院選を乗り切ってからだろう。
 もっとも「当の岸田文雄首相はさほどこだわってないんじゃない? 彼の母校愛は屈折しているから」という同窓生の解説を聞いた。開成高校の名門たるゆえんは、東京大学合格者数四十年連続日本一の記録にある。開成といえば東大。この名声は呪縛にもなる。
 岸田氏は男親族漏れなく東大出の生い立ちで、三度の東大受験失敗を「人生最大の挫折」と自己紹介してきた。もちろん東大ばかりが人生ではないが、家系に従順な岸田氏の経歴、大勢に逆らわない人柄は、挫折後もそうとは開き直れなかった人が胸底に押し隠したわだかまりを想像させる。
 東大はそもそも官吏養成大学だから、世襲議員になった岸田氏の周囲に開成卒が多いのは当然だ。むしろ確率論的に・・・