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日本「途上国援助」は税金の墓場

悪弊続ける外務省とJICA

2021年11月号

 アフガニスタンの首都カブール陥落で、日本政府はアフガン人協力者や家族ら五百人以上の救出に失敗したが、二十年間で総額七十億ドル(約八千億円)に上る対アフガン援助が水泡に帰したことも、日本外交の大失態となった。この機会に、無駄な援助外交にメスを入れるべきだろう。
 日本の対アフガン援助は二〇〇一年末のタリバン政権追放後、米国と歩調を合わせて行われ、援助額は米国に次いで二位だった。一二年には東京でアフガン復興支援国際会議を主催。昨年のジュネーブでの国際会議でも、茂木敏充外相は今後四年間、毎年一億八千万ドル(約二百五億円)の援助を続けると打ち上げていた。
 援助プロジェクトは空港、道路、病院建設から農業開発、地雷撤去、旧タリバン兵の社会復帰など多岐にわたり、外務省外郭団体の国際協力機構(JICA)が管轄だった。
 日本の援助の目玉が女性警官の育成で、JICAの支援で女性警官約一千五百人が日本などで研修を受け、各地の警察署や交番で活動した。だが、女性の就労を制限するタリバンは女性警官を目の敵にしており、妊娠中の女性警官がタリバン兵に銃殺される事件も起きた。タリバン・・・