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イラクの「脱イラン」で不穏な情勢

「シーア派の弧」に次々と亀裂

2021年11月号

 米国のドナルド・トランプ前大統領は、イランの指導者と同じ穴の狢だった―。こんなジョークが中東各地でささやかれている。
 十月十日に行われたイラク国民議会(国会)選挙で、予想外の敗北を喫した親イラン派が、昨年の米大統領選を連想させるように、「大規模不正が行われた」と、投票結果無効を訴えているからだ。
 投票後のイラクでも米国と同様、大きな政治変動が起こりそうだ。第一党の政党連合「サーイルーン」を率いる、イスラム教シーア派指導者ムクタダ・サドル師は、対イラン関係と対米関係の見直しを示唆した。イランは大慌てである。

親イラン派の「抑え込み」を示唆

 投票から一週間以上経ても、首都バグダッドなどでは、「選挙は盗まれた」とのデモが、しつこく繰り返されている。
「開票に使われた機械は、事前に仕組まれていた」
「手作業での開票をやりなおすべきだ」
 バグダッド市内に集まった数千人は、トランプ支持派から借りてきたような言いがかりを次々と口にした。トランプ氏と同じく、親イラン・・・